投資家らしい切り口で、「お酒を飲まない市場」について記した書です。
この本によると、なんと、日本でお酒を飲まない人は「人口の半分以上」を占める「マイノリティ」なのだそうです。
- え?人口の半分以上を占めるマイノリティって、言葉自体が矛盾しているけれどどういうこと?
- 日本人ってみんな酒を飲んでいるではないか。人口の半分以上が飲まない人だなんて信じられない!
- 人口の半分以上ならマジョリティではないか?
そんな疑問を抱くところから、この本との対話は始まりました。
Contents
ゲコノミストの種類
簡単に要約すると、実際は人口の半数以上がお酒を飲まない人であるにもかかわらず「マイノリティ」であるのは、「飲めること、飲むことの方が普通」であったため、飲まない人はマイノリティとして扱われていた、ということです。
確かに、実感として、その感覚はあります。
お酒を飲まないと「え?!飲まないんですか?」という質問が来ますよね。
この本の中では、お酒を飲まない人をひとくくりにして「ゲコノミスト」と呼んでいます。
そして、ゲコノミストには4種類のタイプがあるのだと言います。
あなたはどのタイプでしょうか?
ゲコノミストの種類
- 嫌いだし、飲めない(真性ゲコノミスト)
- 好きだけれど、飲めない(酒好きゲコノミスト)
- 体質的にお酒に強いけれど、飲むのは嫌い(酒嫌いゲコノミスト)
- お酒が好きだし体質的には飲めるけれど、飲まない(選択的ゲコノミスト)
いわゆる辞書的な「下戸」は1.と2.ではないかと思います。要するに身体がアルコールを受け付けない人、そう言う人を一般的に「下戸」と言いますよね。
ソーバーキュリアスは、1-4すべてにまたがりますが、主に3.と4.に多く分布するのではないかと思います。
例えば、体質的に飲めるけれどみっともない酔っ払いを心底軽蔑して飲まない私の妹は「3.」、体調を考えて飲まないことを選択している私は「4.」に分類されます。
下戸向け市場のポテンシャル
この本を、ざっくり要約してしまうと、下戸向けの市場は未開拓であり、開拓の余地が大いにある、ということです。
これは酒飲みの人から見ると、意味が分からないのではないかと思います。つまり、「飲まない」のだから市場の開拓の余地が無いではないか、と思うからです。
元酒飲みであった私も、最初は意味が分かりませんでした。
下戸が行ける店が限られている
下戸は客単価が低いため、店によっては、店側から暗に「来るな」というプレッシャーをかけられており、行ける店が限られている・・・・
なるほど、それには気が付きませんでした。
確かに、お酒をオーダーしないといけないようなお店は存在しています。
そういうお酒を飲まない人が、楽しく外食できるようなサービスは確かにニーズがあるでしょう。
下戸は食事に行っても飲み物がワンパターンでつまらなかった
レストランでは、分厚いワインリストはあっても、ノンアルコールはウーロン茶とオレンジジュースだけ、なんてことも多いようです。
また、料理とのペアリングについても、ワインやその他アルコールでは一般的でも、ノンアルコールドリンクと料理のペアリングについては、確かに、まだまだ対応できる店が多くはないですよね。
酒飲みにはバラエティ豊かなアルコールがあるのに、下戸には、ウーロン茶やオレンジジュースしか選択肢が無い、というのは確かに不公平です。
例えば、コース料理をいただいているときに、気の利いたドリンクがあると、より満足度が上がりそうですので、それなりに星をつけているレストランなら、ノンアルコールドリンクと料理のペアリングは、当たり前のようにさらっとやってのけるぐらいに、なるのが理想なのではないでしょうか。
ゲコノミクスの経済効果は3000億円以上
著者は、「若者の酒離れ」や「卒アル」などの理由により、一層ゲコノミストの割合が高まると考えており、アルコール飲料メーカーは、ノンアルコール飲料や、お酒を介さない飲食シーンのあり方に目を向けていくべきフェーズに入っている、と言います。
そして、その経済効果を3000億円とみているのです。
確かに、アルコール飲料メーカーが、「忘年会スルー」とか「お酒飲むのとかカッコ悪いっス」と言う若者に、「アルコール飲みましょう!」とアピールしても無駄な気がしますから、発想をぐるっと変えて、ノンアルコール飲料を売ればいい、ということになりますね。
また、酒飲みの視点では「ノンアルコールには高い値段をつけられない」という考えるが、それは思い込みであり、ノンアルコールだって高く売れる、と言います。
高級なお茶
ノンアルコールにだって、高い値段をつけることは可能だ、という例の一つに、2006年創業のロイヤルブルーティージャパンが提供する「ロイヤルブルーティー」というお茶のブランドを挙げています。
私はこのお茶のブランドを知らなかったのですが、一本3,800円から、上はなんと60万円まで!
お酒を飲まない人にも料理とのペアリングを楽しんでもらうためのお茶、なんだそうです。
下戸はこれまでリーチできていなかった層
下戸はお酒を飲ま「ない」、というところに注目してしまうと、市場として認識されませんが、お酒を飲まないといけないというプレッシャーが無い空間や、料理に合った美味しいノンアルコールドリンク、といったニーズに気がつくことが出来れば、ビジネスはできそうです。
まとめ・これからの世の中を占う
お酒を飲む人は絶対に減ると思います。
理由は、お酒は薬物である、ということが知られつつあるからです。
リスクを承知で飲む人も一定数残るとは思いますが、「そんなに危ないならやめる」という人もたくさん出てくるはずなのです。
こうした時代の流れを踏まえて、ビジネスの方向転換をする必然性はありますので、飲食業界に関係する人は、下戸がどんなニーズを持っているのか知るためにも、この本を読んでおいてもいいのではないかと思います。
また、多様性社会についての考察もかなりありますので、ダイバーシティや働き方の問題に関心がある人にも超絶おススメです。
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ソーバーキュリアスとは新しい価値観です
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