かつて私と酒を飲み交わしていた人たちは、私のことを「陽気な酒飲み」とは思っていても、アルコール依存症予備軍だったとは、誰も思っていないと思います。
むしろ、おしゃれなビストロでワインを片手に饒舌に語っているイメージが強いようです。ワインのことも、素人ながらかなり勉強し、海外でもワイナリーを訪れたりもしていました。
ですから、一部の人からは「わざわざやめなくてもいいのに・・・」「あなたらしさが一つ消える」とも言われました。
しかし、ソーバーキュリアスになった今ならハッキリとわかります。
つまり、一歩間違えるとアルコール依存症患者になっていた、ということです。
ソーバーキュリアスとは
あえてお酒を飲まないことを積極的に選択する人たちのこと、および、そうしたライフスタイルのことを「ソーバーキュリアス」と言います。
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私はこんな酒飲みだった
私の友人のほとんどが、そして一緒に暮らしている家族ですら、私を「ハイリスク飲酒者」だと認識していなかった理由はいくつかあります。
- 毎日飲んでいなかった
- 記憶を無くしていてもはたからは普通に見えた
- 経済的に問題が無かった
毎日飲んでいなかった
そもそも法律上お酒が飲める二十歳になってから、私には毎日飲む習慣はありませんでした。
フルタイムで働いている、ということもあり、飲むのは金曜日か土曜日、あるいは祝日の前の日、と決まっていました。それも、金曜日に飲めば土曜日には飲まないし、土曜日に飲むなら金曜日は飲まない、というような飲み方でした。
ここだけ見ると、かなり節操のある酒飲みに見えるかと思います。
また、家族や友人など、親しい人と飲むのは好きでしたが、仕事がらみの「つきあい飲み」が大嫌いだったので、会社関係者との飲み会には、一部の歓送迎会を除いて、ほとんど参加することがありませんでした、飲むのは週末に友人や家族と一緒の時だけです。
ただ、飲み始めると、「1杯だけね☆」と言いつつ、2杯目を注ぎ、ワインボトル一本分空けてしまっている・・・そういう飲み方でした。
さらに、週に1度とはいえ、必ず週に1度は飲んでいたので、飲むことをかかすことはありませんでした。
記憶を無くしていてもはたからは普通に見えた
私は、飲んでも人に絡んだり泣き上戸になることもありませんでした。多少陽気になって饒舌になることはあるようです。
もともと私は声量があって声が大きいのですが、さらに声が大きくなり、いろんなことをおしゃべりするようです。
だいたいワインボトル半分ぐらいを飲んだあたりで、意識はぼーっとしています。それがわかっているならばやめればいいのに、飲んでいるときは「まだまだイケる、大丈夫」と思っています。
そして、記憶が無い、ということも、毎回ではないにしても時々ありました。
翌日、同席していた人に「何か無礼をしていないか?」と聞くのですが、たいてい相手は「は?」と驚いたような反応を見せるのです。
つまり、私が記憶をなくしていたとは、ほとんどの人が気付いていないのです。
目つきやしゃべり方で酔っていることはハッキリ認識されていても、記憶が無くなっている、とまではわからないようです。
経済的に問題が無かった
それなりに値の張るワインを注文したりはしていましたが、分不相応なものでもありませんでしたし、なにより週に1回です。帰りのタクシー代を入れたとしても、破産するような額にはなりません。
また、仕事上の付き合いの飲み会等も参加していないので、トータルで見て、経済的な問題は発生していませんでした。
私はなぜハイリスク飲酒者だったと言えるのか?
かなり前から、お酒が自分にとっての問題だ、とうすうす気が付いていました。なので、友人や家族に「ちょっとお酒やめたほうがいいかな?」という相談はことあるごとにしていました。
しかし、返ってくる答えはいつも、「なんで?」という答えでした。
中には、「一緒に飲めなくなるなんてつまらない」という意見もありましたし、「適量を飲めばいいんだよ」というにべもない反応もありました。
いや、だから、その「適量」が出来ないで困っているんだけどな・・・・
心の中で、そうつぶやき、人に相談しないで自分で決めよう!とある時決意しました。
「普通の飲酒者」は、充分、と思ったところで止められるので、飲み始めたら止められない人の気持ちなど全く理解できないのだと、わかりました。
そう、「普通の飲酒者」は、途中で飲むのを止められない、ということが理解できないんです。
整理してみた私の問題点は以下のようなものでした。
- 飲みだすと自分の意思で飲むのを止められない
- 記憶が無い経験が時々ある
- 二日酔いで丸一日をつぶしたことがある
飲みだすと自分の意思で飲むのを止められない
「ちょっとだけね」と飲み始めて、ワインボトルが空になる、というのが常でした。
飲み始めはとにかく、リラックスできてふわっとします。気持ちがいいんです。
そして、頭がぼーっとしてきたところで、「もっと!もっと!」という欲がわいてくるのを良く感じました。後から振り返って、その「もっと!もっと!」という声に逆らってやめればいいのだろう、と、なんどもそれを試しました。
しかし、それは成功したことがありません。
記憶が無い経験が時々ある
お酒を飲んで記憶が無い、というのは、経験をしたことが無い人にとっては理解ができないもののようです。
私は何十年も生きていて、よく危ない目に合わなかった、と自分の強運に呆れましたが、逆に言うと、いまやめることが出来て本当によかったと思っています。
自分が自分でなくなる、って、本当に恐ろしいです。
二日酔いで丸一日をつぶしたことがある
翌朝、起きてもだるくて何もやる気が起こらなくて、一日中ベッドの上に居たら日が暮れた、ということを何度も経験しています。
これではまるで廃人です。
月に数回廃人になる、プチ廃人、で済みましたが、このままこういうことが何度も続き、頻度が上がると、シャレにならないだろうな、と思いました。
あらためて文字にしてもゾッとします。
あなたもハイリスク飲酒者かもしれません
特に日本は、酔っ払いに寛容だと言います。酔って粗相をしでかしても、「酔った上でのことだから」と、笑い飛ばしてもらえます。
そこが逆に問題なんだと思います。
本当は笑い飛ばしてしまってはいけない深刻な問題なのです。
私なんかは、酔って冗談を飛ばして人を笑わせたりもしていたものですから、「楽しい酔っ払い」とか「酔っているあなたは可愛い」とすら言われていたんです。
そういわれると、「そんなに自分の酒癖のことを深刻にとらえなくてもいいか!」と思ってしまうのです。
しかし、他人は責任など取ってはくれません。
あなたはどういう風に生きたいですか?いま一度考えてみてください。